あなたは、心理カウンセリングを受けたことがありますか?
受けたことがある場合、それは、どこで誰から受けましたか?
「今探しているところ!」という方は、どのように探していらっしゃいますか? SNSですか? 病院を探していますか?
「心理カウンセラーはみんな、なにかしらの資格を持っているのだろう」と、”なんとなく”思い込んでいませんか?
ここでは、心理カウンセラーってどういう人を指すのか、心理職の資格について、一緒に考えてみましょう

アダルトチルドレン(AC)克服カウンセラーの空しずくです。
パートナーシップで苦しみ「あれ、同じパターンを繰り返しているな……」と気がつき、心理カウンセリングを受ける。自己理解が深まりパートナーシップが劇的に良好に。その後学びと訓練を重ね、アダルトチルドレンの生きづらさを抱える方に向けて、カウンセリングを提供中。心理学部の大学生でもある。プロフィールはこちら
コラムでは、専門的な情報を分かりやすく自分の言葉で書いています。大学での学びのアウトプットの記録。
※ 正しい情報を掲載するよう努めていますが、間違えることもでてくるかもしれません。ご容赦ください。
心理カウンセラーは資格がなくてもできる
まず最初に、言ってしまいますと。
心理カウンセラーは資格が無くても出来ます
びっくりしましたか?
私自身、今、心理職の資格は持っていません。「心理カウンセラーをやっています」と言うと、先日「資格なくても出来るんですか!?」と驚かれました。
なんとなく、お医者さんや弁護士さん、美容師さんみたいな感じで、「資格がないとできないお仕事」(=これを業務独占資格といいます)みたいな感じがしますよねぇ。
心って、複雑で繊細で。然るべき勉強を積み重ねた人でないと、扱えない……そんな感覚を持ちますよね。私も持ちます。(でも、私、資格を持っていません。でもお伝えしたいポイントがあるので、最後まで読んでくださいね。笑)
でも、現在の日本では、資格がなくても「心理カウンセラーです」と言って大丈夫ですし、心理カウンセラーで独立開業も出来ます。日本では、といったのには理由があり、国によってこの辺りは変わってきます。ドイツでは、心理的治療の法規規制が厳格で、臨床心理学の学位+3〜5年の専門的訓練+国家試験が必須とか。
「コンサルタントです」と、一緒かな。(ざっくり。笑)
誰でも言えちゃうんですよね。(う〜む……ってなりますよね)
心理職の、代表的な資格
ではここで一度、代表的な心理職の資格について、ご紹介します。
……とその前に(笑)、ほんの少し、心理学の歴史に触れておきます。
「心」って太古の昔から興味関心を持たれ続けてきているテーマで、哲学や宗教などでずっと扱われてきていました。それこそ、理解できない人の言動を「悪魔や魔女」として片付けていた時代もありましたよね。ずっとずっと、人々は「心」というものを不思議に思ったり探究したり、一生懸命あれやこれや理解しようとしてきてる……のに、心理学の歴史ってとっても浅いんです。
心理学実験室ができたときを、心理学誕生としており、それは1879年のこと。ちなみにこの心理学実践室を作ったのは、哲学者でもあり生理学者でもあるドイツのヴントという人であり、ライプツィヒ大学に作りました(大学の先生が、実際に見学に行き聞いたとのことで教えてくれましたが、この実験室は今は無いよう)。
そんな浅い心理学の歴史。
国家資格の公認心理士
そして本題! 現在、心理職の国家資格はひとつ。
公認心理士
です。日本で初めての心理職の国家資格。第1回の国家試験は 2018年9月9日。
現在2025年なので、まだ7年しか経過していない、ホヤホヤの資格です
臨床心理士
そして、もうひとつあります。こちらは国家資格ではないのですが。
臨床心理士
公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する、民間資格です。こちらは公認心理士よりも古く、1998年にスタートしています。これでもまだ、27年の歴史しかない。
以上の2つが、有名どころですね。
その他にも
認定心理士(公認心理士と名前が似ているので、ややこしいですが)
上記は、社団法人日本心理士学会が認定する資格。大学で、心理学に関する知識と技能を習得したことを証明する資格です。
産業カウンセラー
上記は、心理職資格としては最も古く(臨床心理士より古い!)、日本産業カウンセラー協会が1971年第一回の試験を実施。一時期、旧労働省の管轄下で公的資格だったこともあるようですが、今は民間資格です。
他にもほかにも、探せばいろいろとありますが、4つ挙げてみました。
それぞれの資格取得の難易度や、なぜ国家資格化がこんなに遅くなったのかなど、詳細を書きたいところですが……ここでは長くなるのでまた別の機会に。
ここでの感想は、「あれ、心理学の歴史って思った以上に浅いな」ではないでしょうか??(そんなことない??笑)
ちなみに、お医者さんの医師免許(国家資格がないと医師として開業できない)は、1876年「医術開業試験制度」開始なんですって。
資格なしカウンセラーはどうなの?
さて、ではここで気になる部分に入っていきます。
「資格がなくても心理カウンセラーになれる」ということと、心理職の資格について分かりましたね。
気になることといえば、「じゃぁ資格なくて心理カウンセラーとか言ってる人ってどうなの?」ということではないでしょうか。
なんだか怪しいとか、信頼できない感覚とか、それってだめでしょって咎めたくなる気持ちとか。ある人もいるでしょうね。
ここからは私の個人的見解です。出来る限り、素直に書いていこうと思います。
民間団体でカウンセリングを受け、そこで学んだ私
私自身の話をしますね。
私はよく電話する友人がいて、その友人が「アダルトチルドレン克服カウンセリングを受けている」と話の流れで教えてくれました。そうなんだねぇ〜くらいだったのですが、何度か電話するうちに、「すごく考え方が楽になった」とカウンセリングの成果をポロッと話してくれて。
そこで、私は興味を持ちました。
私も受けてみようかな。
その時、私はパートナーシップで悩んでいて。なんだか同じようなパターンを繰り返している、そんな気がしていて。ここから抜け出したい、と思っていました。「アダルトチルドレン」という言葉は知っていたけれど、あまり自分ごととして考えたことがなかったというか。だったのですが、一回ここでその考え方から自分を見てみよう、と思ったんです。
友人からの話もご縁だし、良い機会かな、なかなかカウンセリングって受けに行く機会作らないし、「よしっ! やるか!」という感じでした。
友人が言っていたカウンセリングは、民間団体の代表カウンセラーさんがやっていたので、その方に繋いでもらって。紹介という形で、私もそのカウンセラーさんからカウンセリングを受けることとなりました。
6回ほど、4ヶ月くらいかけて、カウンセリングを受けました。
その民間団体で、そのままカウンセリング養成講座に入り、知識と実践を重ねて心理カウンセラーとしてクライアントさんとカウンセリングをするようになりました。
私をカウンセリングしてくれたカウンセラーさんは、公認心理士でも臨床心理士でもありません。そういった資格はないですが、長年たくさんの自己投資をしてカウンセリングをたくさん受けにいったり、講座や研修に行かれたり…とおっしゃっていました。
その方のカウンセリングを受けて、友人も私も、生きづらさが楽になりました。もう少し具体的に言うと、
自分の思考や行動パターンが分かり、
そういった自己理解が深まることで、苦しいパターンを繰り返すことが減った
=生きづらさが楽になった
という感じです。
今は私が、資格なしカウンセラーとして
私自身も今、資格はまだありませんが、心理カウンセラーとしてクライアントさんとカウンセリングをしています。
クライアントさんとは、もう1年以上続いている方もおられます。終わった方もいます。
みなさんが「来た時より楽になった」かは、測りきれません。が、お声としていただく中には
気が付かなかったことに、気がつきました。心がまた楽になって、自分を労ってあげたい気持ちが湧いています
少しずつだけれど、楽になりました
というものがあります。実感してくれているから、続けてくださっているんだな、とも感じています。
私も、私にカウンセリングをしてくれたカウンセラーさんも、資格なしカウンセラーです。でも、実際のところ、クライアントさんの生きづらさ解消のお役に立てています。(先述したとおり、私もそのカウンセラーさんがいなかったら今の私はいない)
資格なしカウンセラーさんが、「資格がないから」とカウンセラーとして活動をしなかったら、そこで楽になることができた人ができなくなる、ということになりますね。もちろん、他のところに行かれて楽になる未来線もありますが。笑
だから、私は、資格なしカウンセラーであっても、一概にバツをするというか、除外してしまうのはもったいないなと思っています。
でも、注意する部分もあるなぁと感じています。下記に続きます。
資格なしカウンセラーのデメリットや注意する点
知識や訓練の積み重ねは必須ですよね
資格なし、と言っても、知識や訓練を積み重ねているか
は、ひとつ絶対大事な視点ですよね。「やってみたいから」だけで、なんの知識や訓練を重ねていないのに「カウンセラーです」と言っても…… 当たり前ですが、受ける側としては受けたくないですよね(有料なら特に。無料でも時間がもったいない気持ちに私はなる)。
独自のメソッド・偏った手法
また、もうひとつ。
民間団体であっても、独立して個人事業主カウンセラーであっても、先述した資格がないと
独自のメソッド、偏ったやり方になってしまいがち
という注意点も感じます。それでも、それが受ける側の自分にマッチすれば成果がでるのだと思うので良いですが…… 私はここが大きな注意ポイントだなって感じています。
私は10年間、個人事業主をやってきています。そのせいか、ビジネスコンサルタントやコーチングのコーチにもたくさん出会ってきていて。実際にコースを受けていたこともあります。
そんな経験から、感じることを話しますね。
資格を持たずして、独自のセンス・体験・学びからコンサルやカウンセリングをしている方もたくさんいました。
私自身は、それを面白いと感じましたし、憧れも持っていました。私自身も、そういった部分があると思います。
でも、少し離れてみた今思うのは、「どうなのかな」という感覚。
資格を持たずして行い成果をだす人は、ある意味で天才肌だなって思います。共通するのは「自分の経験を教えればいい」といったものな気がします。
その場合、自分の経験で教えられる人が対象で、それ以外の人は「お客様にしてはいけない層」となる。自分の経験で変化する人を対象とする。だから、知識よりも自分の体験。だから、だれでも教えられる(だれにでも、その人の経験があるから)。
こういう方って、往々にして「頭で考えること」を少しバカにするというか、なんというのだろう、「それをするからダメなんだよ」というような感じを言葉にされるなぁと感じていて。
感覚重視タイプというのかな。
これって、すごく素敵だとも思います。魅力的だとも。今でも思います。私にもその要素・素質はあります。
ただ、今は、反対側の意識も芽生えています。
もっと全体を知っておく。自分の感覚は大事。だけれど、一旦全体を、知識でもいいから(むしろ、自分の感覚や体験以外の部分は知識でしか学べないのでは、と今思った)知っておくこと。これは、自分の幅を広げることになるし、偏りにくくなる土台になるのだと思うんです。
とことん偏って、独自のメソッドをゆくのも、ひとつの道。
私は、そこよりも、一旦全体を(私のとってはそれが、アカデミックな心理学の学び)知ることで、自分のポジションをとっていきたい。が、今の願いです。
大学の先生が言っていました。
(全体・もしくは他の部分を)知っていてそれをやるのと、知らないでそれをやるのは違う。
知らないでそれをやるのはダサい
これは、他の話でのことでしたが、これだなって思います。
同じことをやるにしても、全体を知った上で私がそれを選ぶのか。
知らないで、自分の体験だけで「それしかできないからそれをやるのか」。
これって、違うと思いません? 伝わってます??笑
ということで、私は資格なしカウンセラーの場合、おそらく大抵は、知識が部分的なんじゃないかなって思うんですね。
それ自体がダメなのではなく、「その部分的に、受ける側の自分がマッチするか」を把握することが大事かなと思います。
マッチした時、私もクライアント側として成果がでたように(楽になった)、資格あるなし関係なく、あなたにとって役立つキーパーソンになるのでしょう。
資格(共通の土台)がないと、コロコロ方針が変わる?
それから、もうひとつありました。
私は民間団体でカウンセラーをしていて感じたのは、「上の方々の意識の動きで、行うカウンセリングがドンドン変わっていくなぁ」っていうこと。
民間団体に限らない部分もありますが、代表の人の考えで方針が変わることは会社でもそうですもんね。
それでも、「もう少し全体を把握している場合、こんなに方針がガラガラ変わらないかなぁ」と感じました。
変わることが悪いことではないけれど、カウンセリング方針がコロコロ変わっていくと、やっぱり混乱がありました(カウンセラー側もだし、クライアント側もそうですよね)。
これも、資格=共通する土台の学びがないとなりやすいものなのかなぁと個人的に感じます。
ということもあり、私自身は、心理カウンセラーをずっとやっていきたいと思っていて、そうであるからこそ、アカデミックに学ぼうと決めました(今、心理学部の大学生です)。
では、資格ありカウンセラーのカウンセリングとは
ちなみに、やっぱり公認心理士さんが注意喚起をしていたり(資格なしカウンセラーには注意と)しますし、今後どんどん心理職の資格制度が強化される社会になっていくんじゃないかなとも感じます。
そこで今度は、資格ありのカウンセラーのカウンセリングについてお話ししてみます。
こうなると、「資格を持っているカウンセラーが安心」な気持ちにもなりますよね。笑
それはもちろんそうだと思います。一方、資格を持っているカウンセラーのカウンセリングだから、「自分が変化する」とは限りません。
先述のとおり、私は民間団体でカウンセリングしていて。その中で、病院に付属している(臨床心理士や公認心理士さんの)カウンセリングを受けた人にもたくさん出会いました。
そこで受けたのに、私の民間団体にきているということは、まだしんどい(良くならなかった)から。なにも変わらなかった、と言われる方も少なくありませんでした。
民間団体の上の方は、「そこにいっても良くならない」とよく言っていました。
私は、臨床心理士や公認心理士さんのカウンセリングを受けたことがありません。今度、受けにいきます。
まだ体験したことがないので、言えることが少ないですが、受けている友人の話や公認心理士さんに聞くと、私が民間団体でやってきたカウンセリングとは全く別のもののような印象を受けています。
臨床心理士や公認心理士さんのカウンセリング、といっても、ひとつではないはずですが。
私が今耳にしている情報では、臨床心理士や公認心理士さんのカウンセリング(長いので、この後からは「心理士系カウンセリング」としますね)は
- お世話しない
- 甘やかさない
- でも大切にする
といった方針のよう(そうでないものもあるのだと思いますが)。
私が民間団体で教わったのは
寄り添う 受容 受け止める 吐き出してもらう なんでも言っていい空気
こういった雰囲気です。
全然違うんですね〜。
友人は、「最初から心理士系カウンセリングを最初から受けていたら、なにも変わらなかったかも」と言っていました。その友人は、民間団体でカウンセリングを受けた後に、まだ生きづらさが残っていた心理士系カウンセリングを受けています。
「民間団体で受け止めてもらったり、吐き出したりして、ある程度進んだ後だから、心理士系カウンセリングで受容できでない感じでも主体的に動くことが大事なんだなって分かるから効果を感じてる」と。
友人の話も、また、一部分の世界かもしれませんが。これを聞いて、やっぱり「それぞれに助かる人がいるんだな」ってこと。
それぞれの方向から「あれだとダメだ」と、別のものを指して言うことが見受けられるけれど、それぞれに良い部分があって、それぞれに向く人がいるから、どっちもあるからこそいろんな人が楽になるんだなぁと。そう、私は感じています。
また、心理士系カウンセリングを受けてきたら、その体験と感じたことをこの場で書いていきますね。
おわりに
ということで、心理職(心理カウンセラー)は資格がなくてもできるということ。
誰でも今から「心理カウンセラーです」と名乗れるということ。
でも、当たり前に、心理カウンセラーは面談(カウンセリング)を通して心理支援をする立場である以上、知識や実践訓練がないと務まらない。
もっというと、「カウンセリングでクライアントが楽になればいい」ので資格がなくてもそれを達成できるカウンセラーはいっぱいいるし、資格があってもそれを達成できないカウンセラーもいるだろう。
私は、資格ありなしで隔てるものではなく、どちらにも救える人がいて、救えない人がいると思っている。
でも、やっぱり(笑)「資格がある=心理の土台の知識や実践を持っている」と分かりやすいし、実際そうなので、資格があると安心しますよね。
かつ、資格があるということはそれだけたくさんの時間をそこ(基礎含め)に費やした証拠でもあるので、全体をみえているともいえ、全体を見た上で、どのポジションでカウンセリングするかを選べることが、私の目指すカウンセラーである。
資格なしカウンセラーは危険だと注意喚起する記事も見るので、そう言った側面はあるなぁと理解しつつも、人である以上どんなカウンセラーも完璧ではなく、クライアントの症状をより悪化させてしまう可能性はゼロではない。
資格なしカウンセラーであっても、生まれ持ったセンスや感性、底なしの努力や勉強で、すごいカウンセリングをする人もいますよね(すごいカウンセリングという語彙力。笑)。
※いったりきたりして、ちょっと疲れてきた。笑
いろんな側面を自分なりに統合して、あなたが良いなと思うカウンセラーがいるなら、その感覚も大事にして、一度だけでもカウンセリングを受けてみてまたそこで考えるのはベストなのではないでしょうか

